奥穂高岳 〜日本アルプス発祥の南陵を超えて〜
2019年6月23日
自分の中の登山人生の全てが変わった日。登山始めたあたりからアルパインクライマーを目指してはいたが、それは手の届かないところにあり、指をくわえて眺めてるだけだった。しかし、この日アルパインクライマーとしての一歩を踏み出すことができた。
この記事では大げさに書いてるように思える箇所がいくつかでてくると思いますが、全て事実であり、誇張表現はできるだけ使わないようにしています。
CT:
1日目 上高地5:20→岳沢小屋7:10~7:32→トリコニー第一峰、第二峰経由→懸垂下降地点
15:30→奥穂高岳山頂16:38~17:07→穂高岳山荘17:57
2日目 穂高岳山荘6:13→奥穂高岳山頂7:03~7:07→吊尾根最低コル8:35~8:50→涸沢ヒュッテ
13:00→上高地16:38
この旅の始まりは6月21日の夜、バイト終わりに急いで駅に向かう。今回一緒にいくNさん(バイト先の先輩)と合流して、Nさんの車で沢渡駐車場へ。仕事明けに徹夜で運転してもらって本当にありがたい。
4時過ぎにつき、仮眠。タクシーで上高地へ。
登山始めてもう3年半経つが初めての上高地、初めての北アルプス。北アルプスに行く計画だけは立ててもなかなか行くことが出来なかった。
明治時代にイギリス人のウェストンが登ったルート、それがこの奥穂南陵。そこから日本登山史が始まったといっても過言ではない。そして自分も初の北アルプスがこのルート。少し運命的なものを感じる(*´ω`*)
上高地に5時過ぎにつき、登山届けを提出。準備をして出発。
今回の予定としては
上高地→岳沢小屋→奥穂南陵→奥穂高岳→吊尾根最低コル→法政ルート→前穂北尾根5.6のコル
が初日。かなりハードなので序盤から飛ばしていきます。
歩き始めはこんな感じでハイキング
橋を渡ると本格的な登りがスタート
1時間ほど歩くと少し景色が開けてきます。
ずっと登りなのでなかなかキツイです(^_^;)
特にこの胸突き八丁付近は息を切らして登っていきます。
胸突き八丁が終わり、前方が見えると岳沢小屋も見えてきます。しかし小屋が見えてからが長い。もうすぐそこにあるように見えるのに実際は20~30分ほどかかります。
雨具を着て、ヘルメットをかぶる。そして雪渓を歩くのでアイゼンも小屋からすぐの場所で装着。ここから先は道なき道を。今まで道があるところしか歩いてこなかった自分にとって、とても新鮮でワクワク😊
岩の取り付きまで雪の上。上部はかなり高度感があり、滑ると小屋まで真っ逆さま。
どこまで行くのかと言うと、上の写真で左奥に3つボコって盛り上がっている岩山があると思うのですが、そこがトリコニー。右から順番に1峰、2峰、3峰です。今回は1.2を乗り越えていきます。
雪渓上部。写真だと急には見えないですが、結構雪が脆いですし危なかったです。
取り付き
最初から岩のひとつひとつが大きくて進むのに苦戦する所がでてきます。写真では撮ってないのですが、ザックを背負ったまま上にあがるのができなかったクラックのような場所もありました。
取り付きからだいたい2時間ほどですかね?それくらい経ってからついにロープの登場。カムを使用してクラックを登る。Nさんがリードをして、自分はビレイ。睡眠不足がたたったのか、ビレイ中の眠さといったらひどいもんです(´×ω×`)
ついでにこの当たりから寒くなってきましたしね。
ここから先は基本的にずっとロープを結んだまま進んでいきました。
藪漕ぎがひどく、さらに木も草も濡れていて滑りに滑る。絶対に滑って落ちるわけにはいかないので慎重になってスピードは落ちる。Nさんはどんどんと先に進んでいく。
焦るのですが、岩は滑るし、藪漕ぎを全くの未体験だったので進もうにも進めませんでした。
この辺りはほとんど写真を撮れてません。スマホを取り出す余裕なんて全くなく、ずっと必死でした(-人-)
そして恐れていた事態…雨です😞
トリコニー第1峰あたりから降られました。体温は奪われ、メンタルはやられ、なんでこんなところ来てるんだと。。。何度もう帰りたいと思ったことか。
途中の岩で雨からしのげる場所があったのでそこでビバークしようか迷ったと登山後に聞き、たぶん僕はそうとうメンタルがやられてるように見えたんだと思います(´-ω-)実際やられてましたけど
たぶんトリコニー第2峰の写真だったと思います。休憩を2峰でとり、少し雨は収まっていたので、進む。この時点で12時過ぎであり、今日の目的地を穂高岳山荘へと変更。
自分が遅かったせいだ、Nさんは速かったのにもっとペースをあげてついていくことができたら…と後悔。
しかしその後、なんとか天気は回復
ですが、トリコニー終えてからが勝負でした。
雪と岩の上を歩いていくんです。これが本当に怖い:(´◦ω◦`):少しでも歩行を間違えると滑落、下手すれば墜落もありえます。雪は緩んでいたし、岩の上を歩くことが多かったのでアイゼンは付けず。危ない部分はロープで軽くビレイをしていきました。
でも天気はたまにガスにまかれることはありましたが、雨が降るようなことも無かったです。やはり山で太陽が見えるのと見えないだと精神的な面で大違いですね😊
この懸垂下降のポイントでハーケンの打ち方やカムの使い方をしっかり教わりました。それにしても懸垂下降って怖いですね😅
ボルトもスリングも古そうでしたし、、、
ここまでくれば安心…というわけでもなく、登山道まではまだまだ。足場もかなり悪く、浮石が多いのでいつもみたいなテキトウな登り方はできません。気が緩むことなく慎重に。
南陵の頭につくとようやく一般登山道と合流
奥穂高岳までの道ですが、ちゃんと整備されてるでしょ?整備されてるってすごい事なんだなと実感。さらに感動٩(ˊᗜˋ*)و
浮石だらけでもなく、藪漕ぎするわけでもない。すごい!!!
天気はここにきて悪くなってしまいましたが、これは翌日への布石だったのですよ((゚艸゚)フフフ
山頂についたのは17時前。ものすごい時間がかかってしまいました。景色はほぼなし。山頂の標識だけ写真に撮って急いで山荘まで向かいます。ここからも一般登山道なのですが、山頂直下の凍結してる箇所があり、そこはアイゼンを使っていく。アイゼン履く時間がもったいなかったのですが、自分の歩行技術じゃアイゼンなしでは行けませんでした( .. )
基本夏道なのですが、鎖場・階段に取り付く手前が夏道の上に雪が残っており、雪を避けて通る。浮石が多く、落石を起こしてしまい焦りました。でも下に登山道があるわけではないので、まだセーフ?
穂高岳山荘目前の鎖場、人工階段はかなり恐怖感がありますね。滑落、落石発生ポイントなのでゆっくりと。
18時ちょい前にようやく山荘到着。今日1日がかなり長く感じました。
テント設営し、ようやくのんびりとした時間…なのですが、たぶん風邪をひいてしまったのか、食欲が全くない。パンすら口にすることが出来ず、温かいものだけとる。
山荘から撮った写真なのですが、ガスがかなり濃く、明日の天気が心配…
明日はほとんど知られていない法政ルートというルートで涸沢まで下山予定です。果たしてどうなるやら、、、風邪もひいちゃったし、、、
不安を胸に抱きながら就寝。
少し長くなってしまったので2日目は次の記事で書きます。
そして翌日、ついにやってしまいました。絶対にあってはならず、死へと直結することです。
それではお楽しみに( ̄∇ ̄)