八ヶ岳赤岳主稜 -極寒のテント泊と厳冬期バリエーションルート-

2022/2/18~20


もう2年半以上前に行った、奥穂高岳南稜〜法政ルートのときに連れて行ってもらった先輩に、今回もお誘いいただき、八ヶ岳へ


今回は行きは結構楽しみでしたが、想像以上の寒さと3シーズン用の寝袋の限界を知りました。

満身創痍とはこのことをいう


かなり長くなると思いますが、どうぞよろしくお願いします




2022年2月18日

この日は朝イチからバイトがあり、早起き

そして13時に仕事を終えて、家で軽く休んで小淵沢駅へ


今回の登山では小淵沢駅で拾ってもらい、深夜に美濃戸口に到着→深夜出発



19時40分小淵沢駅到着

20時半ころに車がつき、乗せてもらって美濃戸口へ


実はこの時点ではどういうルートで行くか決めていませんでした。

阿弥陀岳の方に行くか、主稜に行くか、はたまた他か



もう少し早めに着く予定でしたが、21時半前に到着


装備を整えて出発します

出発する前にはとりあえず主稜に行こうと登山届を出しました


ここから先は真っ暗なので写真はないです。

美濃戸口から美濃戸山荘までの1時間くらいが結構怖かったです。


めちゃくちゃ真っ暗

このとき深夜0時でしたが、まだ標高2000m付近

ちょっと絶望


荷物はめちゃくちゃ重く、雪が結構あるため、なかなか前に進めません。


結局行者小屋についたのは2時すぎ

4時間半かかりました


そこから整地をしてテント設営


午前3時に就寝



しかしここからの数時間が地獄でした


山にいて地獄とかいう表現はあまりしたくないのですが、このときは過去一番のしんどさ


何があったかというと


寒さです


今日は快晴で雲がないのでものすごく寒いんです。

-20度くらい


ちゃんとしたシュラフならよかったのですが、お金が無くてイスカAir450x

-6度までが限界だと思ってますが、-20度

耐えられるはずがありません。


そして悪手をやってしまいました。

シュラフの外にレスキューシートを巻いたのですが、これが結露してダウンがびしょ濡れ


これが4時のこと

あまりにも寒くて目が覚めたらダウンシュラフがお亡くなりになりました。


ここから先はガタガタ震えながら眠るというより気絶の方が近い気がします。


意識失って、寒くて起きて、また失って、の繰り返し


明日山登れるのか?

と思いながら一晩を過ごしました。



2022年2月19日

6時に起きて朝食

寝れてないのでだいぶ寝不足


朝食は絶対に寒いと思っていたのでクリームシチューとバケット


明らかに足りないのは見れば分かること


朝食を終え、7時頃準備のために外出るもめちゃくちゃ寒い

そして天気がそんなによくなく、雲が厚い

雲自体が高いので被ることはなさそうなのがよかったところ



7:50行者小屋発


長い一日になりそうです


文三郎尾根へ

文三郎尾根は序盤急登ですが、登りなのでアイゼンを使わずに歩く


下りで使うならアイゼン必須です


今日向かうところです。


景色は最高

朝方の雲はどこかにいきました


9時

写真中央左のじゃっかんトレースがある部分が赤岳主稜取り付き

チョックストーンをくぐっていけそうです


そしてこの取り付きまでのトラバースがかなり緊張しました。

この傾斜ですから万一滑落したらどこまで行くのやら


この後ですが、全くもって余裕が無くなるため、余裕がわずかにできた瞬間に写真を数枚撮ってます


9:15赤岳取り付き到着

ここでビレイの準備


先輩が先に行くのですが、雪の量が少ないからか、かなり登りづらい


お助けスリング(なんとなく古そうでめっちゃ怖かった)を使って、先輩にロープ引っ張ってもらってはい上がる



このチョックストーンの間を通る

ここが今回の核心でした。

先輩曰く、普段はもう少し登りやすいとのこと


この後は雪の箇所はコンテ、岩の場所は先輩が先に(リードで)登り、支点をとってもらって、セカンドで自分が登るを繰り返す


1時間20分後

時刻は11時すぎ


はい上がる


中間付近のチムニーがかなり悪く、上がるのに大苦戦


そして11時近くから寒さで指先の感覚がなくなる

三重グローブつけてますが、インナーがかなり薄いのがよくなかったです。


指先に感覚はなく、痛みすらすぎてしまった状態

かなりやばかったので貼るカイロを手首に貼り、ごまかしごまかし登っていきます。


ピッケルを通して指先が冷えていく感じ

持つ手を変えながら登っていました。


それとビレイ中に猛烈な眠気

寝不足がたたったのと、寒さで体がガタガタ震えていたのとでダブルパンチ


もう満身創痍でこのとき登ってました

この後もずっと寒さと眠気と戦いながら登山

もしここでガスったりして遭難なんてしたら、凍傷で指切断は逃れられず、最悪凍死かもなんて思ってました。


これは登ってきたところ

今みると結構斜面ありますが、実は雪に関してはそんなに難しくなく、滑落しそうなところはなし

岩場も雪の付き方次第なのかな?といったところです


雪山経験あんまりない自分がいうので間違いないですが、一人ではこないように



景色は…

雲がでてきました


これがまじでどこだったか記憶が無い…

11:35です


そこから1時間後

このときだけ先いっててきとうでいいから支点とってくれる?と言われたので行きました。


ずっとリードしてもらっていたので、だいぶお疲れのようでしたので、ここは自分の腕の見せどころ!と意気込んだのですが、たいした距離じゃありませんでしたorz


精進します



ここが最後の難所?


最後のルンゼを超えればもう少しで地蔵尾根から上がってきた山頂までの稜線とぶつかります


ちなみにこれがビレイ中の光景

先輩が先に登って悪戦苦闘してるときに、自分がデジカメで撮ってました


ビレイ中って待っている間、風から身を守るすべがなく、とにかく寒さとの戦い


しかも結構待ち時間長かったりするので、眠気も来るという


必死に登り、ついに地蔵尾根からの稜線とぶつかったのが13時


北アルプスはもう見えないですが、悪くない景色


ビクトリーロードとはこのことを言うのです


13:03赤岳登頂!!!


景色は



よし!

悪くなし!


阿弥陀岳はバッチリ(あってますよね?)


先輩は先に小屋のところで休むと行って戻っていきました。

この後ろ姿がかっけぇ…



ちなみに撮った景色の写真は↑に載せた写真とほぼ変わりませんでした


と、ここで先程歩いてきた主稜に人が


こんなとこ自分も登ってきたのか〜なんて思っていましたが、あの地点から2時間くらいかかったような


この方々が暗くなる前に降りれるのかが不安になりました。



1時半頃下山開始

ここが主稜の終着地点です。


ここを登ってきたのか


なんて思いながら下山

下山路は地蔵尾根


これがまた少しやっかいでした。

今年雪少ないよ…



下山とはいいつつ、滑落停止訓練もしてました。


主稜を左手に見ながら


急斜面に見えますが、結構歩きやすいです



ときおり赤岳を振り返りながら


ここまできたらもう寒くないです。

地獄の寒さを耐えしのぎました……



あとは楽しい下山ですが、慎重に


でも景色は楽しむ


地蔵尾根最大の難関はここでした

チェーンが足元にあり、岩もあり、そして進行方向向かって右側(写真でいうと左側)が結構急斜面


ここはかなり慎重に歩きました


樹林帯近くまできました。


もう少ししてアイゼンを外す

この早まった行動が後々ちょっとした災難に



その災難がこれ

ここが滑り台になっており、かなり滑る

鉄パイプを必死につかみ、ズルズルと滑りながら下りましたが、腕がめちゃくちゃ疲れました。



もう危険箇所はなし


にしてもやっぱり雪が少ないですね


のんびり下山を楽しんで

14:52行者小屋に下山完了


テントについて少しすると雪がまってきました




ずっと降ってるわけではなく、たまに太陽も雲の隙間から顔をのぞかせていたので、びしょ濡れになったシュラフを干す時間も確保


いや〜よかった…


あとはテントの中でのんびりして、18時頃夕食


ドライカレーとボンカレー


そしてあったかいお茶


そして今日

なんとあたたかい!


この後寝たのですが、深夜に起きて行者小屋前にある温度計見に行ったら0度でした


なんて暖かいんだ


雲も厚かったので、熱も逃げず、いい夜を過ごしました。


そして夜は雪が降っていたのですが、自分のフライシートが雪用のではないので窒息だけが心配でした。

ベンチレーター全開

前室も開けておけばよかったなと今になって思いました


昨日の地獄とは一転、この日はゆっくり寝れました。


もう少しだけ続きます



2022年2月20日


朝起きると


雪でテントが押されてました。

しかもこれ押し返せない

雪ってほんとに重いです


外出るとこんな感じ


にしても積もりすぎじゃないですか?

一晩で結構積もるものなんですね

(フライシートのところも開けておけばよかった…これで死んだら死にきれない)


朝ごはんにクリームシチューとパンとカチコチになったおにぎりとシャリシャリのミカン


おにぎりが完全に凍って食べれたもんじゃなかったですが、お腹は結構減ってたので詰め込む


冷えたものを食べたので食後は


やっぱりお茶


ちなみにお茶とか飲み水とかは、テント近くの雪をコッヘルで溶かして水にしました。

(この話を他でしたら、雪汚いのにそんなん飲むの?って驚かれました。でも雪山いったら雪溶かして飲みますよね?ほんとはろ過とかできればいいですが、そんな余裕はないのです)


今日は天気が悪い



風も強そう

8:37行者小屋出発

帰路に着きます


美濃戸山荘まで向かうのですが、トレースが一晩の雪で結構消えており、ラッセルがとにかく大変

荷物もめちゃくちゃ重いので、ズボズボと雪の中を突っ切っていきました



9時半頃

この八ヶ岳の美濃戸山荘〜行者小屋までの間にアイスクライミングができるスポットがあります。

ちょっと見に行こうということで、ロープをくぐって向かいました


遠目からでも結構なアイスが見えます

ただ、人もいましたし、昨日の登山でだいぶ満身創痍になっていたのもあって、また今度来ようと


ちなみにですが、荷物が重かったのは、ここで帰りにアイスクライミングをやって帰ろうと思っており、ダブルアックスやらヌンチャクやらを持って行っていたためです。


やれないならいらなかった…




来た道をもどり、


ここからはほんとに下山です



10:48美濃戸山荘到着

帰りは早かったです


赤岳山荘のとこでは


アイスキャンデーがありました



もちろんこちらでもやる気はなく、美濃戸口へ


ここからが長いのはいつものこと


最後の登りをがんばれば


12:03美濃戸口到着!

お疲れ様でした!!!



ほんとに疲れました…

心身ともに



帰りは車でもみの湯まで行き、温泉&ご飯


温泉は最高に気持ちよかったですし、唐揚げ定食も半端なくおいしかったです。



小淵沢駅まで送ってもらい、そこでお別れ

この先輩は山岳救助の仕事になるかもしれなく、今後一緒に山に行けるか分からないです。

でもまた一緒に行きたいですし、ただそのときまでに自分が知識と技術と体力を身につけなければ…




今回の登山は、深夜から始まり、極寒の夜を超え、初めての雪山バリエーションルートで緊張し、さらに寒さを乗り越える、といっただいぶ濃い3日間でした。


この赤岳主稜というのは、バリエーションの中でもかなり簡単で、入門ルートなのですが、それでも自分にとってはかなり大変でした。


ですがものすごくいい経験が出来たのも事実



今後こんな雪山はソロなんかじゃ当然できないですが、八ヶ岳の普通の登山道であれば雪山でも来れることが分かったので、また冬の時期に来たいものです。


そのときは絶対に冬用シュラフを持っていきます…



ここまで読んでくださり、ありがとうございましたm(_ _)m


おしまい




CT

1日目

美濃戸口 21:44

赤岳山荘 22:44~22:55

美濃戸登山口 23:06

行者小屋 2:16


2日目

行者小屋 7:50

赤岳主稜取り付き 9:15

赤岳山頂 13:03~13:15

行者小屋 14:52


3日目

行者小屋 8:37

美濃戸登山口 10:48

赤岳山荘 10:55~11:16

美濃戸口 12:04

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